市民新報コラム

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下顎突起骨折 (2007年6月)

最近、お台場で転んで怪我をされた患者さんと、昨年交通事故にあわれた患者さんのお二人がおみえになりました。
転んで怪我をされた患者さんは、都内の総合病院救急外来で唇の裂傷を縫われて応急処置はしてもらいましたが、歯の動揺や痛みもあり、ご家族より相談のお電話があり、早めの来院をお勧めしました。お口が開くようになったら来院しますとのことでしたが、数日経過してから、一晩中眠れないとのことで来院されました。総合病院の紹介状では、頭頚部X撮影による診断では、骨折はなしとの診断でしたが、歯科のX線写真では、下顎突起骨折を起こしており、下顎の著名な変位も認められました。
交通事故の患者さんは、事故で失った歯の代用としてインプラント(人工歯根)の施術を希望され、来院されましたが、事故以来、顎の痛みがとれないとの訴えがあり、レントゲン撮影をしたところ、陳旧化した骨折線が認められました。

怪我や事故にあわれた場合、第一選択が、お医者様であるのはいうまでもありません。しかしながら、歯科口腔外科における顎を対象としたレントゲン撮影方法は、医科とは異なり、また、口腔外科学的に診断しやすい画像になっています。もし、受傷された後に、以前より顎が左右どちらかにずれてしまった感じがするとか、物がうまく咬めない、耳の近くの顎の関節部に痛みを覚えて、その痛みがひかなかったり、さらに増していくような症状の場合には、早めに歯科口腔外科にての受診をお勧めします。
下顎の骨折の場合、必ずしも手術になるわけでなく、上下顎を固定すること(その間、摂食は不自由しますが)で治すことができます。早めに下顎の骨折や顎関節症の治療をしないと、その後、治療を行っても症状を充分に軽減できない場合もあります。

お口の周りの怪我をした場合、精神的なショックも大きく、また、見た目も気になりひきこもりがちになりますが、早期診断・治療が、機能的回復への特効薬です。

(文責:(社)日本口腔インプラント学会 指導医 医学博士 簗瀬武史)

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