市民新報コラム

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新型コロナウィルスと命 (2021年10月)

先日、日本国内でのワクチンの2回目接種率が50%を超えたとの報道がありました。それに付随して1日の新規感染者数も減少傾向にあり、厚生労働省によると未接種者と2回接種者を比較すると65歳以上の高齢者の感染が10分の1以下となっていることがわかりました。
ワクチンは一定の間隔を置き、2回接種しますが、1回目を接種してすぐに感染予防の効果があるものではありません。ワクチン接種により中和抗体(感染を防ぐ力を持つ抗体)はすぐにできるわけではありません。最低でも10日間ぐらいかかりますし、1回だけの接種でできる中和抗体の量はヒトにより大きな個体差があると言われています。ですから一定間隔をおいて2回摂取する必要があります。2回接種を終えると実際にコロナウィルスの感染歴のある方と同等の中和抗体の量になると言われています。
ワクチンの効果は100パーセント有効ではありませんし、ワクチンを接種していても他の人に感染させるリスクはあります。いずれにせよご高齢者や基礎疾患を有する方の重症化リスクが高いことには変わりありません。感染してしまったその人が自分にとっては赤の他人でも誰かにとっては大切な人かもしれません。皆が皆、お互いの大切な人を感染させないためにもワクチン接種に安心せずに人が多くいる場所への外出を控え、感染予防を徹底し、マスク・手洗い・うがいの励行・口腔衛生の維持を遵守する日常生活が一番大切であると考えます。
当院に勤務してくれた歯科衛生士が9月24日に無事に女の子を出産しました。職務を全うしたいと7月末まで勤務していましたが、胎児への影響を懸念する彼女はワクチン接種を受療していませんでした。個人の判断を尊重し、患者さんだけでなく、彼女を守ろうが我々の合言葉でした。自粛疲れという言葉もありますが、誰かのために、誰かを守ろうという気持ちが大切であり、国は時短や休業されている方々を守る義務があると思います。

(文責:神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬 武史)

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